経営情報
DX戦略
アイサングループにおける
DX推進のビジョンと基本方針
現在、労働市場においては、少子高齢化により、採用市場は激化するとともに、労働人口は今後も減少する方向にあります。そのような中、当社グループでは、採用活動を積極的に行うとともに、限られた社員にて最大の成果を上げるべく生産性の向上に取り組んでおります。その一環として、企業として持続可能な競争上の優位性を保つためには、DX活用は重要な役割を果たします。
デジタル技術の新たな登場により、それを自社の製品、サービスに組み入れることで新たなビジネスチャンスが創出される一方、その技術に対応できない場合、市場から淘汰されるリスクを有します。また新技術の登場に伴い、当社グループの事業領域において、新たなるコンペジターの参入も想定されます。
DXの活用において、「ビジネスモデルの変革」「経営の高度化」「デジタル基盤の強化」をキーワードに、新たな事業価値の創出やDXを活用することで、当社グループにおけるビジネスモデルを変革する「攻めのDX」と、業務の効率化などに代表される「守りのDX」の両面に積極的に取り組んでおります。
DXの活用を通じ、グループ全体でお客様にそれぞれのDXを取り入れた製品、サービスを提供するとともに、生産性向上による収益力アップに努め、中期経営計画の達成を目指します。
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DX活用のビジョンと
ビジネスモデル
DX活用の3つの柱
- 「ビジネスモデルの変革」 は、顧客へのサポートサービス、カスタマーサクセスにAI等様々なツールを活用し、顧客満足度を向上させるとともに、当社グループが提供する測量システム、自動運転事業の分野でもDXを活用した製品、サービス提供に取り組んでまいります。
- 「経営の高度化」 に関しては、2000年代前半より業務のIT化に取り組んできており、これまでも積極的に投資をし、一定の効果を上げています。今後はそれらシステム間連携等、より高度化した取り組みを行うとともに、各システムの導入効果の測定も必要と判断しております。加えて生成AIの活用など新技術の導入にも取り組んでいく必要があります。
- 「デジタル化基盤強化」 は、DXを使いこなすデジタル人材の育成を横断的な組織で行うとともに、サイバーセキュリティ等の脅威にも対応する基盤の強化が求められております。
DXを活用したビジネスモデル構築の取り組み
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DXを用いたビジネスへの展開①
取り組み
創業来取り組んでいる測量、不動産登記に係る事業分野では、50年を超える顧客基盤、技術ノウハウを有しています。この分野でのソフトウェア開発は強みである一方、製品はオンプレが中心で、クラウドでの製品開発が徐々に始まった点が今後へのリスクと考えております。そのリスクを回避すべく、小さなシステムより提供を始めている状況です。
また、他社との比較は、測量現場の作業から成果品作成までを一貫して自社ブランドで提供できる点が強みの一つです。また、測量の技術を用いて、自動運転分野の高精度三次元地図の作成まで手掛けるとともに、その地図を活用し、自動運転の社会実装に向けた取り組みにもチャレンジしております。
体制
クラウドの製品化に向けては、若手人材を中心に体制を構築し、新しい技術を取り入れるようにしました。
またそこにベテラン社員も随時アドバイスできる体制でプロジェクトを進めています。
デジタル化のポイント
クラウドの基盤としてAWSを活用することでサーバー管理の省力化を図るとともに安全性を高めました。
リスクと対策
クラウド基盤としてのAWSのサービスに起因するトラブルにより、お客様の作業環境に影響を与えることが想定されます。
プロジェクトの成果
クラウド基盤を活用し、複数の製品群、サービスを提供することにより、継続的な収益を生み出します。
DXを用いたビジネスへの展開②
取り組み
創業来の測量に係る技術を展開し、高精度三次元地図の整備を行う事業を展開しております。さらにその地図を用いた自動運転に係る事業に取り組んでいます。その事業リスクは、技術発展により地図の必要性が薄れることが挙げられますが、一方で、自動運転の社会実装に向けては、パートナーと連携し生み出し、そのノウハウは国内ではトップクラスになります。各実証実験を一つずつ事故を起こさず進めていくことが非常に重要となります。
既存ビジネスは、測量、不動産登記、建設に係る事業者がターゲットでしたが、本事業では、自治体、交通事業者がターゲットである点が新規ビジネスモデルと言える要因です。
体制
社内体制としては、測量の知識を持った人材を活用するとともに、キャリア採用等で当該分野の人材も確保し、融合させることで当社ならではの体制を構築します。
また、当社グループのみではなく社外のパートナーとも連携することで事業の推進を加速化させています。
デジタル化のポイント
大学発ベンチャーと連携し、最先端の技術を活用しています。
リスクと対策
自動運転の社会実装の段階での事故に対するリスクが有ります。安全神話が高い日本での事故は事業推進には致命的になります。そのための安全対策には細心の注意を払っております。
プロジェクトの成果
社会課題である地方地域公共交通の維持を目的に自動運転の社会実装において複数の自治体での実用化を行います。そのことにより、複数の自治体での実証実験を通じて、国の方針に沿って、確実に技術をアップデートし、複数の自治体での実用化に当社のビジネスモデルを構築し、財務成果への大きな影響をもたらすことを目指します。
DXを用いたビジネスへの展開③
取り組み
会計システム、販売管理システム、経費精算システム、Excelのスプレッドシートを自動的に連携させ、経営資料の作成の効率化を図るとともに経営ダッシュボードの構築を実現し、経営の意思決定、決算開示業務まで効率的に行うことを実現しました。この仕組みはグループ会社も含め共通のプラットフォームとしており、連結決算の業績管理、決算業務にも活かしています。またM&Aなどでグループ会社に変動があった際にも、スピーディな対応が実現できています。
本仕組みを構築するまでは、Excelで属人的な業務であり、作業に膨大な時間を要するとともに、スプレッドシート特有の集計結果の誤り等のリスクも有していましたが、それらも解消することができ、本来するべき分析に時間を確保することができています。
体制
社内体制としては、情報システム部門と経理部門が連携し、短期間で構築をするとともに、社内体制の変更によるシステムの修正も連携しながら対応しています。
また複数のツールをカスタマイズすることなく導入し、活用することで、運用コストを抑えています。
デジタル化のポイント
複数の元データを統一した基盤に集約することにより様々な要求にも応えることができています。
リスクと対策
外部ベンダーのツールを利用しているため、そのベンダーのサービス継続がリスクです。定期的な企業評価を行い、サービス継続の妥当性を評価していきます。
プロジェクトの成果
提供される経営情報に基づき、多角的な分析を行い、経営陣、各事業部門にフィードバックすることで収益性を高めることが本プロジェクトの成果と考えております。
DX戦略2024におけるテーマ
DX戦略2024では、経営ビジョン、中期経営計画及びDX推進ビジョンに従い、体制と目標を定めます。そのテーマは下記に掲げる3つのテーマであり、その実現を目指し、グループ全体で取り組んでまいります。
1.DXを利活用したビジネスをお客様に提供します
2.AI・クラウド基盤を活用し、生産性の向上を図ります
3.デジタル人財の育成を行います
DX推進体制について
当社グループにおけるDX推進の取り組みは、各部門主導のもとスピード感と現場目線を持ったDX推進を図ると同時に、全社的な共通プラットフォームはIT部門主体で推進する体制とします。
この場合、各事業の特性を理解している点がメリットとなりますが、デジタル領域に関する知識やスキルを保有した人材が必要との課題が生まれます。
課題を解決すべく横断的な組織として「DX推進委員会」を立ち上げます。本委員会では、各部門における課題や、生成AIといった新技術の活用法に対し、
各委員が保有する情報、ノウハウに基づき、知恵を出し合うことにより新たなアイデアや解決策を創出し、それを各部門に持ち帰えり実行することで課題解決し、DX推進に貢献することを目指します。
本中期経営計画の期間にて、全社的な統括をする人財育成を3名程度、各事業部門に2名程度の人財を配置することを目標とします。
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デジタル人財の育成について
1.目的・目標
最新のデジタル技術とビジネスニーズを連携し、活用可能な人財を育成します。
2.必要とするスキルと役割
経済産業省、情報処理推進機構が策定するデジタルスキル標準に沿って役割と必要とするスキルを定義します。
そこで定める「デジタルスキル標準」「DXリテラシー標準」の要件を満たす人財育成を進めます。
3.育成方法
- オンラインセミナーの受講
- 社内勉強会の実施
- 外部研修期間の活用(リスキリング含め)
- IT部門への配属にて実務経験を積み、各事業分野でのキャリアを通じた育成
DX推進に係る投資予算について
基本的な考え
企業規模、売上規模によってDX・ITに対する投資(支出)すべき範囲も可変することから、連結売上高の2%を目安にDX・ITへの投資(支出)を行うことを基本方針と定めます。
本中期経営計画における売上とDX・IT予算
(単位 : 百万円)
事業年度 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 | 3か年合計 |
---|---|---|---|---|
売上高計画 | 6,000 | 7,200 | 8,000 | 21,200 |
DX・IT予算 | 120 | 144 | 160 | 424 |
(対売上高比率) | 2% | 2% | 2% | 2% |
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サイバーセキュリティへの対策について
現在、ITの活用は欠かせないものとなっており、DX推進においてはますますその重要性が高まっています。
情報の安全性も重要な課題となっており、サイバーセキュリティ対策を積極的に実施することが必要です。
従来からあるランサムウェアの脅威は継続して高まることが予想され、一方でAIを活用した高度な攻撃手法のような新たな脅威も予想されています。また、グループ会社全体も含めて従業員が増えていることから、
従業員のセキュリティ意識が全体として低下することも考えられます。
これらの脅威に対してグループ会社全体のセキュリティを強化し、最新のサイバーセキュリティへ対応していくとともに、継続的な対策を実施してまいります。
具体的な対策
-
リスク評価と管理
組織全体のサイバーセキュリティリスクを定期的に評価し、適切な管理策を策定します。
ビジネスプロセスやデータの重要性に基づき優先順位付けを行い、リスクに対する適切な対応を確保します。 -
テクノロジーの更新と強化
最新のセキュリティテクノロジーを導入し、組織のネットワーク、システム、データを保護します。
エンドポイントセキュリティ、ファイアウォール、侵入検知システムなどのツールを利用して、潜在的な脅威に対処します。 -
インシデント対応体制の強化
サイバー攻撃やデータ漏洩などのインシデントに備えて、迅速かつ効果的な対応体制を整備します。
インシデント発生時のコミュニケーション手順や報告体制を明確化し、適切なチームを配置して対応します。 -
従業員のセキュリティ意識の向上
定期的な研修や啓発活動を通じて、従業員のセキュリティ意識を高めていく取り組みを継続的に実施します。
最新のサイバー攻撃手法や、自社の情報資産を守る重要性について、従業員の理解を深めます。