- ホーム
- 挑戦と進化のストーリー
- 企業価値向上の鍵を握る、財務戦略とIR活動
挑戦と進化のストーリー
企業価値向上の鍵を握る、財務戦略とIR活動
2025年8月26日

話し手:曽我本部長(経営管理本部)
財務戦略とコーポレート・ガバナンスを統括する曽我本部長に、中期経営計画の成果と今後の展望について伺いました。数字の裏にある戦略や想い、そして投資家との“対話”を大切にする理由に迫ります。
Q. 財務視点で55期、中期経営計画ここまでを振り返っていかがでしたか?
中期経営計画では、最終年度に売上高80億円、営業利益8.5億円という、高めの目標を掲げています。この目標達成に向けてまず、初年度としては、計画以上の結果を残すことができ、良いスタートが切れたと考えています。
なぜこの高い目標を設定したかというと、ROEやPBRといった市場が求める水準を達成するには、最低限このくらいの事業規模が必要だと考えているからです。
初年度を終え、2年目の当事業年度も始まっていますが、この年度で必要な投資をしっかり実行できなければ、来期の目標達成は難しくなると考えています。特に採用した人財をしっかり育成していくことが重要です。2年目の今年度は順調に採用は進んでおり、獲得した人財がしっかり成果を残せるよう育成を強化していくことが必要です。また、2年目の業績は、年度の前半の第2四半期までは、利益面では損失を計画しております。その中では、第1四半期は計画以上の実績でスタートしておりますが、後半に高い利益計画となっているため、その進捗を引き続き注視しております。
Q. 当社の資本政策に関してどのようにお考えですか?
資本政策の根幹にあるのは、会社が持続的に成長し、永続していくことです。そのためには、成長分野への投資が不可欠になります。
まず、その投資にどれくらいの資金が必要か、そして手元にどれくらいのキャッシュがあるか。この両面を見極めた上で、最適な資本政策を考えていく必要があります。
基本的には、必要な投資資金は金融機関からの借入を中心に考えていますが、成長の規模によっては、増資などのファイナンスも必要に応じて検討します。そして、どのような手段を取るにせよ、株主の皆様の利益を第一に考え、決定した内容については丁寧に説明していくことが何よりも重要だと考えています。
Q. 配当を含め、株主還元についてのお考えをお聞かせください。
株主還元の基本方針は、安定的かつ継続的な利益還元です。その最適な方法として、現時点では「配当」を重視しています。
具体的な目標として「配当性向35%以上」を掲げており、稼いだ利益の3分の1以上は株主の皆様に還元していく方針です。実際に前期は、当初の1株あたり20円の配当予想を上回る利益を達成できたため、5円増配の25円とさせていただきました。この方針は今後も継続していきます。
また、自己株式の取得についても様々なお声をいただいており、「やらない」という選択肢ではなく、必要な施策の一つとして常に検討しています。実施する際は、その時期や目的をしっかりと議論した上で、実行していきたいと考えています。
Q. 株主優待は実施されないのでしょうか?
株主優待を検討する上で、私たちが最も重視しているのは「公平性」です。加えて、当社はBtoB事業が中心のため、事業に直接関連する製品やサービスを還元しにくいという側面もあります。
ただ一方で個人投資家の皆さんの株主優待に対する期待が高いことも理解しております。ここは継続的に議論を進めております。その一環として、まずは、2025年6月には株主様を対象とした自動運転バスの試乗会を開催しました。こうした機会を通じて、今後も株主・投資家の皆様に当社事業の理解を深めていただくとともに、このようなカジュアルな場で株主様のお声を直接お伺いし、その上で必要な制度を検討していきたいと考えています。
Q. 当社のIR活動に関するお考えをお聞かせください。
IR活動は企業経営において非常に重要だと考えています。とはいえ、一度にすべてを変えることはできないため、「できることから一つずつ着実に」をモットーに進めています。まずは、当社の様々な情報を、投資家の皆様に正確に、そして分かりやすくお伝えすることに注力しています。
その上で、まだまだ足りない部分があることも認識しています。現在も新たなチャレンジに取り組んでいますし、専門部署を設置して人員を拡充するなど、社内体制も強化しました。他社様の優れたIR活動を分析し、良いところは積極的に取り入れて、投資家の皆様に有益な情報を届け続けることを忘れずにやっていきたいです。
Q. 昨今、ガバナンス体制の強化が求められておりますが、どのような体制を構築されていますか?
まず社内的な取り組みとして、内部通報窓口は10年以上前から設置しています。ただ、社員が通報しにくいという側面もあるため、経営管理部門に気軽に相談できるような体制も整え、問題を小さなうちに解決できるよう努めています。
もう一つ重要なのが、グループ全体のガバナンスです。これについては、アイサンテクノロジーからグループ各社に取締役や監査役を派遣し、経営状況を監督する体制を構築し始めています。今期は、グループ各社の監査役が集まるミーティングの場を設け、内部統制の強化を図っていく予定です。
Q. 最後に、企業価値向上に向けての取り組みに関してお聞かせください。
企業価値の向上とは、単に数字を伸ばすだけでなく、事業を通じて社会に貢献することだと考えています。そのために重要なことは3つあります。
- 中期経営計画をしっかりと達成すること。
- 積極的なIR活動で、有益な情報を株主・投資家の皆様に伝え続けること。
- 皆様との「対話」を重ね、当社の魅力を深く理解していただくこと。
事業計画を達成して社会に貢献し、その価値を皆様に正しく伝え、そして皆様の声を経営に活かしていく。このサイクルを力強く回していくことが、企業価値の向上に繋がると信じています。